派遣薬剤師が考える最近の薬問題
派遣薬剤師から見た最近の薬問題について

■ 偽造薬問題を検証する
薬の郵送は違反ではない
健康保険悪用事件
バイエル薬品 副作用報告違反で行政指導
慢性期病棟で起きる薬の無駄遣い


偽造薬問題を検証する

【 問題視される薬の流通 】

偽造薬

私は派遣薬剤師として働いているのですが、最近は薬にまつわる問題が多いですね。そこで私が気になったものについて私の見解をまとめてみました。

まずは、すでに風化した感もある「偽造薬ハーボニー事件」ですが、NHKクローズアップ現代が「広がる“偽造薬”リスク あなたの薬は大丈夫?」というテーマで取り上げていました。

前半は事件のおさらい、まずハーボニーのボトルの現物が登場、中から出てきたのは、全く違う形の薬、何故こんなことになったのか?ということで、薬の流通紹介。 解りやすく、薬の卸から病院、調剤へ、流れる矢印とその逆の矢印が図面に表記され「調剤や、病院は在庫を持ちたくないので‥」という理由で、現金問屋に買取を依頼する、という説明。

そして、病院に薬を売る資格はないため「個人」の名前で、現金問屋に売るのではないかと、ゆえに「現金問屋に売られる薬は、秘密厳守主義、 いきおい身元が解らない人からの購入ということになる。」という所まで言及していました。

偽造薬事件に本物のボトルと錠剤も、混ざっていたことから、ここまで説明しないと、説明にならない、ということですね。番組を観た人は「おそらく特殊なケース」 「そういうタイプの病院や薬局がある」と言うイメージだったのでは。

現金問屋については、この事件を受けて「仕入れ時の身元確認徹底」や「違反した場合の罰則強化」が挙げられており、「秘密厳守主義」を無くすこと。 ボトルが正規品だったことについては、空ボトル類が、オークションなどで売られている実態を紹介、ハーボニーについては「1錠ずつ外から見える形に変更」 といったことが挙げられていました。

【「現金問屋」の存在理由 】

現金問屋

しかし、この対策には、疑問が残ります。まず現金問屋対策は述べられているが、そもそも病院の場合、売る方も法律違反である。そちらに対する防止策が無い。

まず、この番組を観た人が思うこととして「病院や調剤の在庫保管は、金銭的負担が嫌だ」というのは、納得できると思われる。それなら正規の薬の流通ルートに「返品」 があればいいのでは?と感じるのでは。

現金問屋は、アパレル業などの場合は、買う方は歓迎される状況になります。「在庫品」が「訳アリ品」としてお買い得価格で登場しますから。しかし売る店としては 「信頼」があるため、あまりに安い場合は「訳アリ」という表示をしたり、現金問屋経由的な説明をする。
昨シーズンの在庫、と解れば、安い理由も納得。ブランド品なども安心して買える、命に関わらない洋服の方がよほど、きちんとした説明のもと、販売されていることになります。

処方薬の場合、価格に差が出ることはない、つまり在庫であっても、正規ルートであっても解らないうえに、患者さんには関係ないとも言える。(使用期限以外)ですから、 逆に「在庫が回ってきまして」という説明が、堂々と出来る必要がある。

ここに関して、歯切れが悪いのは、逆に「在庫を抱えるメリット」が生じているのでは?という疑念を生むことになります。また、病院の薬の在庫が、 別の問題として発覚するのではないか?

そもそも「現金問屋が必要な理由」自体、薬の在庫にあるのですから、「在庫解決」の方法を問題にしないと、どうも話がすっきりしないのです。

【 世界で暗躍する偽造薬 】

偽造薬

さて、ハーボニーの偽造薬は15ボトルという小規模なもの、いわゆる大規模裏組織の仕業とは言い難い、いたずらに近いレベルだったのでは、と推測されています。 そして問題はインターネットの「個人輸入薬」の実状、特にEDや育毛など、人には言えない悩み解決薬について、EDの個人輸入については、何と4割が偽物だとか。

こういったものを販売するサイトについては、売った途端URLが変わるなど、取り締まりも、いたちごっこ。
また、ただの「偽」なら良いのですが、殺虫剤と同時製造されていたりもする。何より、こういった偽造薬製造、販売は、マフィアなど裏組織の大きな資金源になる、 という問題があるのです。

ED,薄毛、また抗うつ剤などは、あまり悩みを人に知られたくない、こっそり薬を買う、そして副作用が出ても言う場所がない、そして泣き寝入り、という構造ができやすいため、 より不正の温床になる、ということで、厚労省も不正サイトチェックには乗り出していますが、そこで偽造薬製造組織の大きさに、びっくり、という現状。

こういった問題は、そのまま覚せい剤などの密輸の話にもつながっていくのです。また薬それ自体が、殺人という目的になっている可能性もある。つまり、個人輸入のすぐそばに、 かなり危ない組織がある、ハーボニー問題もしかり、というのが、現在の薬の社会の構図。
ゆえに「薬の流通ルート」はより、はっきりさせなくてはいけない、という結論、患者さんに対しては「不要に心配はせず、おかしいと思ったら薬剤師に相談を」ということになっています。

今回の番組を観て解る通り、ネット以前の世界では、現金問屋に、世界的な裏組織が混ざる余地があまりない。同じ「裏」の出来事でも、ある程度線引きはされていたのでしょうが、 今はそうではない。「表」をはっきりさせる仕組みを作らないと、正規ルートといえども、完全に安心できる薬ですとは、言いきれなくなってきたようですね。

派遣薬剤師といえども、私も薬剤師ですので、こういった問題は他人ごとではありません。ただ日々の業務を淡々とこなすのではなく、業界で何が起きているのかを、 日々きちんと把握しなければと思います。余談になりますが、私が派遣薬剤師をして働くにあたって利用したサイトをご紹介します。 このサイト、コラムや薬剤師の体験談などがたくさんあり、とても面白いですよ。薬剤師としての幅を広げるのに役立ちますので、よければ参考にしてください ⇒ 薬剤師派遣.net

 


■ 偽造薬問題を検証する
薬の郵送は違反ではない
健康保険悪用事件
バイエル薬品 副作用報告違反で行政指導
慢性期病棟で起きる薬の無駄遣い

© Copyright 派遣薬剤師が考える最近の薬問題 All rights reserved.