派遣薬剤師が考える最近の薬問題
派遣薬剤師から見た最近の薬問題について

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薬の郵送は違反ではない
健康保険悪用事件
■ バイエル薬品 副作用報告違反で行政指導
慢性期病棟で起きる薬の無駄遣い


バイエル薬品 副作用報告違反で行政指導

【 広告宣伝活動も問題視 】

広告宣伝活動

厚労省は、バイエル薬品が「イグザレルト」など4品目で副作用報告を行っていないことに対し、行政指導を、またイグザレルトの広告宣伝活動方法が不適切だったとして、 口頭指導を行いました。同社は再発防止の改善案を提出、また広告についてはガイドラインを策定するとのことです。医薬品に不信を持たれる原因2つが、重なっていますね。

まず副作用報告についてですが、4品86例の申告期間内の副作用漏れが発覚、最長で5年近く報告がなされていなかったよう。イグザレルト」で77例、 次いで「バイアスピリン」5例、抗癌剤「スチバーガ」5例などとなっています。

報告された副作用が、いちいち細かに商品に記入してあるのも、どうかと思いますが、今回の場合、イグサレルトの使用中に何かが起きたとする、 そのリカバリーをする手掛かりが、全く無いということになってしまいます。そればかりか「副作用の報告は無い」と医師、薬剤師は返答しなくてはいけない。 更に広告の問題、アンケート結果で得られた有害事象も中央管理統括部門に報告されていない、またマーケティング部門の社員は自己点検の対象になっておらず、 MRだけが点検をすれば良かったという管理体制。

しかも、アンケート自体バイエル社が関与した医師が行ったものであり、集計がずさん、数値に誤りも見られ、医師が論文を取り下げることになったもの。 しかし、これについては「薬機法の虚偽・誇大広告規定には違反しない」ということで口頭指導に留める代わりに、広告のガイドライン策定を行う、ということです。

バイエル薬品といえば、カルテを社員が勝手に盗み見て、データを作成したニュースが、少し前にありましたが、そこから作られた広告の件と思われる。 だとすると、なぜ「虚偽や誇大広告にならないのか?」ガイドライン以前の問題では無いのか?という気がするのですが。

【 薬の広告の裏側 】

薬広告

そもそも、事の発端となる「アンケート作成」ですが、カルテ閲覧を、医師に頼み、社員が盗み見をして、書き写すというもの。単純にカルテの不正閲覧なのですが、 この件を告発した社員はパワハラに悩んでいた、ということ。そして退職勧告を出された、ということで、この話は「薬の話」ではなく「労働問題」という分野に 移ってしまっているようなのでした。

しかし、単純に考えますと、カルテを書き写すことを許可する医師、が、イグザレルトについて、正確な記述をカルテに残しているのか?という疑問が残ります。 また書き写しが、正確に行われたのかどうかも謎。

つまり、アンケート自体がかなり不確か、引用方法も不確か、責任が持てないので、医師はこの件についての論文は、無かったことにしたように思うのですが、 広告はそのままになっている。

そして、副作用は報告されていない。こういったケースはバイエル薬品だけなのか?というのは、誰しも思うことではないか。カルテ閲覧事件時に、 アンケートに関する詳細がきちんと調べられていれば、良かった、また、そうしていれば、その後の副作用報告違反もなかったように思うのですが、 結果的に隠ぺいが重なった形になっています。

これで、薬をきちんと飲め、と言われても、患者さん側の不審は大きい。肝心の薬効自体を信じてもらえないのではないか。つまり苦労して開発した薬であるのに、 製薬会社の行動により、薬の真価を発揮できていない、ということになります。

今年は、週刊誌に「飲んではいけない「受けてはいけない」など、医療記事も多く、医療機関や調剤でも、色々なことが起きていると思われますが、 こういった記事を、悪い意味で後押ししている。

「どうせ、製薬会社のやっていることは、いい加減なんだろう」と言われ、今回のようなケースを持ち出されたら、何とも返事のしようが無くなりますね。 こういったことにより、民間療法や薬機法などに違反した治療や薬が大きく出回り、フォローしかねる事態を招いているのではないか?

【 副作用がはミスではない 】

副作用

薬の効果が底上げされ、副作用の報告が無い、というのは、患者さん側がそういう薬品を期待しているから、という前提があります。

しかし、現在、多くの患者さんは「薬には副作用がある、合わないこともある」といったことは織り込み済みなのではないか。 そういった場合のフォローはどうなるのか?そこに対する心配が大きいのではないか。

ですが、プロが当てにならない、となると、何か起きても相談も報告もない、ということになります。薬であれ、サプリであれ、飲んでみる、 結果を薬剤師に報告して、指示を仰ぐ。という体制が当たり前にあれば、薬剤は適切に使用されるのではないでしょうか。

薬が適切に使用されず、結果的に、リアルに使われたときの意見も、正確に拾えない、こうなると薬剤開発力が落ちるのは、目に見えています。 まず、薬とは副作用が出るもの、誰にでも合うわけではない、ということを前提に使用、その声を拾う、という形を作ることが大事。

広告のガイドライン以前に、今回のような事件が起きた時の説明を、まずクリアにして、「薬物治療」に対する信頼回復を図らなくてはいけないでしょう。


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