派遣薬剤師が考える最近の薬問題
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■ 慢性期病棟で起きる薬の無駄遣い


慢性期病棟で起きる薬の無駄遣い

【 慢性期病棟に薬剤師が介入する効果 】

慢性期病棟

北里大学、および大学病院での研究で、慢性期病棟に病院薬剤師が介入することで年間7800万円の削減が出来たことが判りました。

同大学病院での、処方提案、重篤な副作用回避、経静脈的な抗菌薬療法が主な薬学的介入方法ですが、当の患者さんにしてみれば、かなり薬剤投与の核心とも言えますね。

今回の対象は、北里大学東病院の全6病棟(精神神経科2病棟、神経内科、在宅緩和支援・神経耳科、小児在宅支援、回復期リハビリテーション)、このうち、最も削減効果があったのは、 神経内科病棟3520万6000円、ついで精神科病棟2170万円、となっています。

内訳としては「重大な副作用の回避」を1件214万、経静脈的な抗菌薬療法への介入」を1件19万円、「癌化学療法への介入」を1件11万2000円、処方提案では、1件8万4000円、 ハイリスク薬以外を1件5万6000円という計算方法で算出、件数としては処方提案が最多1113件うち変更が871件で4800万近い金額ですが、件数は38件ながら「重篤な副作用回避」 は1500万円弱という大きな削減効果が出ました。

具体例としては、神経内科病棟でのパーキンソン病などへの経管投与対策として、細粒を簡易懸濁できる錠剤に変更など経管チューブの詰まり予防による副作用回避などが挙げられています。 この場合、副作用というよりも、投与自体が出来ていないことから、ケースによっては医療事故にもなりそうな件。この2棟について、気になるのは、神経内科、精神科、と患者さんが、 薬剤投与に何か疑問を感じたとしても、意思疎通が図れているのかどうか?という点にあります。

また在宅であれば、様子がおかしい、いつもと同じだがこんなことでいいのか?と家族が疑問を持つこともある。しかし、慢性期病棟では、薬の副作用で動作や意識に問題が出たとしても、 それが慢性的に続いてしまうと、病気の症状、もしくは治療上、やむを得ないこととして認められてしまっているのではないか。

治療の話自体、患者さんは、急性期や、慢性疾患であっても在宅で生活が可能な場合は、自分で情報を集め、おかしい、となるケースも多い、しかし慢性病棟の場合、 声を上げることきっかけ自体があまりなく、気づかれない副作用を持つ病人になってしまう。

最近、薬剤師による病棟の医療費削減は、いろいろな場面で有効な報告が出ていますが、慢性疾患で病院から出られない人に光を当てる、という意味で、病棟薬剤師の介在が大きな意味を持つように思います。

【 慢性期病棟とは 】

慢性期病棟

元々精神科の場合、入院した時点で慢性期へのレールが敷かれてしまうことも多く、問題視されがち。近年、在宅介護の勧めがされるようになり、精神科の長期入院も、 クローズアップされてきましたが、だからといって、いきなり退院、地域での生活、というハードルが、まだ高い診療科でもあります。

イタリアなど、欧州では、あまり見られない精神科の長期入院、諸外国ではどうなっているのか?というと、普通に患者さんが地域で働くケースも多い。 その代わり、診療やケースワーカーなど、病気による問題を解決する機関やシステムがしっかり存在する。
これに対し、日本では通院歴がある時点でやや偏見を持たれ、入院すると周囲が安心する、そして偏見が進んでいくという悪循環を招くシステムになっています。

今回の医療費削減の中に、病棟の維持費や、患者さんが就労出来た場合という計算は、もちろん含まれていないですが、そういったプラス効果も考えられる。 逆に地域で病気を支える場合は、その下地作りも要りますから、単純にプラスとはいきませんが、医療費削減を考える時に、慢性疾患の患者さんを、社会に参加させる、 という目線は今後不可欠になっていくと思うのです。

病棟薬剤師が介入することで、病気の経過自体が変わっていく可能性がある、退院の見込みが出てくる反面、その受け皿も大事になってきますね。

【 慢性疾患の受け皿作り 】

慢性疾患の受け皿

患者さんが地域で過ごすこと、というのは、買い物をする、行事に参加する、など、地域活性化というプラスの面もある。 現状では「面倒な病気はとりあえず病院任せ」という考えが強い日本、しかし、慢性病棟が医療費高騰に大きく影響を与える、ということを考えると、 あまり病気に縁のない人でも、慢性疾患の人を地域で受け入れる、という視点は、今後持たなくてはいけないでしょう。

しかし「退院の見込みがない」とされていた人が、街に出てくる、ということは、1つの家族の問題だけでなく、その家族が駆け込める場所も大事。 そうでないと結局、病棟に戻る、ということになってしまいます。

これを解決する方法の1つは、やはり啓蒙、一般の人にまず知ってもらうこと。家族や関係する人が駆け込む場所は、医療機関とそれ以外に大別できます。 それ以外を、どういった場所やシステムにするのか? まず、慢性疾患をどう捉えるのかについては、今現在、認知症やパーキンソン病、精神疾患などを抱えながらも、外で生活している人たちの状況を把握、 支える仕組み作りから始めると良いかもしれません。


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