派遣薬剤師が考える最近の薬問題
派遣薬剤師から見た最近の薬問題について

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健康保険悪用事件

【 診察無しの処方のカラクリ 】

処方薬

先日、チェーン薬局を展開する「シーアールメディカル」社が、健康保険制度を悪用して、処方薬を入手、社員に配っていたというニュースが、朝日新聞に載っていました。

今回のケースでは、シーアールメディカルの事業部長と、とある病院の院長が、元々知り合い。部長が「欲しい薬」の注文を社員から取り、病院に注文、病院は診察したことにして、 処方箋を処方、シーアールメディカルが運営する薬局で処方する。というもの、保険証は注文した社員のものをコピーして病院に渡していたようです。
これで、3割負担で処方薬が買えるということに。現時点で80件が確認され、社員の中には家族分まで注文した人もいたよう。

医師と薬剤師に知り合いが入れば、まかり通る不正、処方箋が手に入れば良い、という人なら、医師だけに知り合いが入れば、できる方法ですね。 今回のようにシステマチックに組織が行っているケースは、さすがに、あまりないと思いますが、医師と知り合い、というケースは、それなりにあるのではないか。

そもそも、定期通院している場合、特に医師との会話もなく「前回と同じ」ということで、継続処方がされることは多く、これだけのために、病院に足を運び、待ち時間もロスしてしまった、 となり「なぜ、こんな面倒が発生するのだ」と患者が思うのも、当然。
今回の事件は、さすがに頼まれた医師側は、かなり迷って手を染めたようですが、利用する側は、悪いと思いつつ、楽で良い、と思ったのではないか。 今回の記事には、特に薬の副作用などは書かれておらず、そこに大きな問題はなかったのか、ちょっと気になります。

今回の事件は、薬剤処方のための診察に、意義がない、と思われたからこそ、成り立つ方法とも言えます。

処方薬など、医師の見立てが無いと怖くて受け取れない、という価値観が広がっていれば「お得」であっても、起きないはずの事件。 医師が薬を処方する段階で、あまり説明をしていない、もしくは患者さんが納得していない、ということが浮き彫りに。

【 処方薬の意味 】

処方薬

処方薬を受け取る患者さんには、2パターンの思考がある。1つ目は「薬の効果があるのか。出来れば薬など飲みたくない」という人、 2つ目は「この薬を飲めば治るのだ!」という人。高齢者に後者が多いため、多剤処方が起きてしまうのだと思うのです。

そして、薬には2パターンある、1つ目は、痛み止めのように、対処療法として飲むもの、2つ目は抗生剤のように、治療になるもの、結果的に、体は楽になるが、 飲まなかった場合が想定しづらい。「風邪による抗生剤の処方をやめる」ことは、随分広まってきたように思うのですが、それでもゼロにならないのは「飲んで治る」人がいるから。

風邪の場合、多くは、放っといても治ります。薬で治るわけではない、しかし薬の処方期間と風邪の治癒時間が一致、体感的にも軽減となると、薬で治ったかのように感じられます。 また、ややこしいことに、細菌性感染症で、本当に薬による効果があるケースもあり得る。

さすがに、今回の事件で、抗生剤は出ていないと思うのですが、構造上、こういた薬剤も存在する。ビタミン剤や抗コレステロール剤などが、こういったジャンルに該当しますね。

次に、対処療法薬、痛み止めなどが筆頭になります。今回の事件も、鎮痛剤や保湿剤の処方箋が多かったよう。ここが問題で、医師の診断がついているわけではないが、 症状は軽減しておこう、という治療は存在する。

慢性痛などは、原因が特定しきれず、こういった治療になりがち、そうなると医師の診断は、何の意味を持つのか?となります。

【 薬剤師による治療を進める 】

薬剤師

実際に、初診で、特定の何かが診断出来ていないケース、そのまま対処療法の薬剤を使用するケース、というのは、医師が仕事をしていないようなもの。 薬剤師の判断で、治療を行う方法があっても良いのではないか。

毎回、病院に行き「変わりないですね」と言われ、処方薬をもらうのであれば、最初から薬局だけ行ってもいいのでは?と、医師、薬剤師、患者さんの全員が思うのではないでしょうか?

本来なら、本当に当初の見立て通りなのか? 薬が合っているのか?という検証をきちんと行いながら、対処療法をしていかなくてはいけない。しかし、一部の慢性痛については、 そもそもの「見立て」にあまり意味がないこともある。こういったケースについては、医師は関与せず、薬剤師が診るという方法にしてしまっても良いのではないか、と思うのです。 薬効や、副作用の様子を見て、合っていないと感じるときに、医師にかかってもらう。

この方法で、薬を完全に自費負担にするのか、どうかはさておき、少なくとも医療機関での保険負担はない、患者さん、国ともに出費は無い。薬剤師も一定の裁量を持つため、 医薬分業が進む、となります。そもそも、処方薬は薬効が強い、場合によっては市販薬に切り替えた方が、メリットが大きいケースもある。

薬剤師による「診察」という方法を、用いてもいいのではないか?と思う事件なのでした。


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